口を塞がれたアフガンの女性たちが危険を承知でペンを執った『わたしのペンは鳥の翼』

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わたしたちの知らない23の異なる世界
 «アフガンの女性たちが創造する小さくてときには息苦しい世界には、壮大な物語があり、心を搔き乱される問題が含まれています。それは、女性嫌悪、家父長制、恐ろしい家庭内暴力、公私双方の場でおこなわれているおぞましい抑圧といったことです。
 とはいえ、本書はなによりもまず、物語を書くことの歓喜に満ちています。わたしたちが惹きつけられるのはそこなのです。»
(本書「序文」より/リーズ・ドゥーセット)


 2022年2月に英国で刊行されたアフガニスタンの女性作家18名による23の短篇集の邦訳版。この本は紛争地域の作家育成プロジェクト〈UNTOLD〉が、3年前からイギリスとアフガニスタンでやりとりをしながら、「小説を描きたい」という女性たちを広く募り、一冊へとまとめ上げたものです。

 アフガニスタンでは2021年夏にタリバンが政権を奪還し、女性への抑圧も急激に強くなりました。女生徒たちは教育の機会を奪われたまま、女性は全身を覆うブルカの着用を義務づけられ、単独での遠出を禁じられています。そのような中で、本書の著者のうち数名は、身の安全のため国外への避難を余儀なくされている状況です。
 一日一日を生き抜くことに精一杯の彼女たちが、身の危険に晒されても表現したかった自分たちの居る残酷な世界と胸のなかで羽ばたく美しい世界とは――。

「『わたしのペンは鳥の翼』(英題 MY PEN IS THE WING OF A BIRD )は、アフガニスタンの十八人の女性作家が初めて世に問うた短篇集である。もっとも、彼女たちがどこで暮らし、どのような生活を営んでいるかは訳者にも知らされていない。わかっているのは、タリバン政権下のいま、小説を書いたことが発覚したら、あるいは原稿が見つかったりすればその身が危険に晒される状況であり、亡命した作家も何人かいるということだけだった。二十三篇のどの作品にも、書きたいという切実な思い、伝えたいという強い願望がこめられている。本書は書くことでしか自由に生きられない女性たちの囁きであり、悲鳴であり、アフガニスタンの現実を小説という虚構のなかで組み立て直した告白である」
(訳者・古屋美登里)

訳者による『わたしのペンは鳥の翼』についてのコラムはこちら▶▶▶
https://shosetsu-maru.com/yomimono/essay/mypen

 想像を絶する過酷な毎日を強いられるアフガンの女性たちが鳥の翼のように自由に紡ぎ出した言葉の数々。自分たちの日常とかけ離れた世界が描かれているからこそ、一人でも多くに読んでほしい、知ってほしい一冊です。

  • ​「書くことがこんなにも強靭な抵抗になるなんて。この炎のような短篇集を読み、語り合うことで、彼女たちの命懸けの戦いにくわわろう」――柚木麻子
  • 「早急に、世界に届けられなければならない声がある。そしてその声は、物語の力を借りて、何より強いものとなる」――西加奈子
  • 「どんなに過酷な現実が目の前にあっても私たちは描く。ペンを持っている間だけ心は自由に空を飛べるか」――窪美澄

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『わたしのペンは鳥の翼』
著/アフガニスタンの女性作家たち
訳/古屋美登里 
定価:2310円(税込)
判型/頁:4-6/256頁
ISBN978-4-09-356742-8
小学館より発売中(10/26発売)
本書の紹介ページはこちらです↓↓↓
https://www.shogakukan.co.jp/books/09356742
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【訳者プロフィール】
古屋美登里(ふるや・みどり)
翻訳家。訳書にジョディ・カンター他『その名を暴け』(新潮文庫)、デイヴィッド・マイケリス『スヌーピーの父 チャールズ・シュルツ伝』、デイヴィッド・フィンケル『帰還兵はなぜ自殺するのか』『兵士は戦場で何を見たのか』、ジャニーン・ディ・ジョヴァンニ『シリアからの叫び』、イーディス・パールマン『幸いなるハリー』(以上亜紀書房)、エドワード・ケアリー『呑み込まれた男』『おちび』〈アイアマンガー三部作〉(以上東京創元社)、『望楼館追想』(文春文庫など)、ラッタウット・ラープチャルーンサップ『観光』(ハヤカワepi文庫)ほか。著書に『雑な読書』『楽な読書』(以上シンコーミュージック)がある。



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