ファッションブランドが映画を作る。

東京のストリートから生まれ、パリ・コレクションへと活動の場を広げてきた「UNDERCOVER」が、自らの世界観を一本の映画として表現する。
タイトルは『UNDERGIRL』。
2026年9月、渋谷で期間限定上映される、UNDERCOVER初の映画作品だ。
でも、この映画を理解するためには、まずUNDERCOVERというブランドについて知っておきたい。
UNDERCOVERとは?

UNDERCOVER(アンダーカバー)は、デザイナーの高橋盾と一之瀬弘法によって1990年にスタートしたブランド。
2人は文化服装学院の同級生で、在学中に手刷りしたTシャツを作り、販売したことからブランドの歴史が始まった。
1994-95年秋冬シーズンに初のコレクションを発表。
そして2002年には、発表の場を東京からパリへと移す。
ストリートカルチャーを背景に持ちながら、単なるストリートブランドに収まらない。
ロック、パンク、アート、グラフィック、写真、映像、特撮。
高橋盾が生み出してきたUNDERCOVERの世界には、服以外のカルチャーが常に存在している。
「服を売るブランド」だけではないUNDERCOVER
UNDERCOVERの面白さは、洋服そのものだけではない。
コレクションを見ると、そこには必ず何らかの「物語」や「世界」が存在する。
ファッションショーの空間。
グラフィック。
写真。
音楽。
映像。
そして架空のキャラクター。
ブランドの洋服を着るということは、ある意味でUNDERCOVERが作り出した世界に入り込むことでもある。
WWDJAPANによれば、UNDERCOVERはパリでのショーを始めた2002年以降、写真、グラフィック、音楽、映像、特撮などさまざまな表現方法を横断しながらブランドの世界観を構築してきたという。
だからこそ、今回の「映画」という表現も、突然現れたものではない。
むしろUNDERCOVERにとっては、これまで続けてきた世界観づくりの延長線上にあるのだと思う。
2011年に登場した「UNDERMAN」
今回の映画を語るうえで重要になるのが、2011年に発表された作品集『UNDERMAN』だ。
「UNDERMAN」は、UNDERCOVERが作り上げた架空のヒーロー。
今回の『UNDERGIRL』は、この「UNDERMAN」の世界から15年を経て生まれた新しい物語になる。
つまり、2026年に突然作られた映画ではない。
2011年から続いてきた架空の世界が、写真やグラフィックという表現から、今度は映像作品へと広がったということだ。
ファッションブランドが映画を作るというより、
UNDERCOVERというブランドそのものが、ひとつの物語を映画というフォーマットまで拡張した。
そう考えると、この作品の意味が見えてくる。
映画『UNDERGIRL』とは?
『UNDERGIRL』の主人公は、ヒーロー「アンダーマン」の娘である息吹ユリ。
物語は、都市の哀しみを背負い、人々を守り続けてきたアンダーマンが、ある日突然姿を消すところから始まる。
残されたユリの前に現れる謎の使者「キコ」。
彼女に導かれながら、ユリは父親の跡を継ぐという運命と向き合い、さまざまな試練へと進んでいく。
そして彼女は「アンダーガール」へと変わっていく。
ファッションブランドが作る映画として考えると、かなり興味深い設定だ。
単純にブランドの洋服を登場させるための映画ではない。
UNDERCOVERが長年作り上げてきた架空の世界を、ひとつの物語として映画化している。
出演するのは中島セナ、松田龍平、水原希子、倍賞美津子
主人公の息吹ユリ/アンダーガールを演じるのは中島セナ。
そしてアンダーマン役には松田龍平。
さらに、2011年の「UNDERMAN」から引き続き水原希子が出演。
倍賞美津子も物語の重要な人物として登場する。
監督を務めるのは写真家・映像作家の守本勝英。
脚本は、高橋盾、永戸鉄也、守本勝英、水谷太郎によるUNDERCOVER PRODUCTIONが手掛ける。
そして製作総指揮は高橋盾。
つまり、UNDERCOVERのクリエイティブチームそのものが映画制作に関わっている。
なぜUNDERCOVERは映画を作るのか?
ここが今回のニュースで一番面白いところだと思う。
ファッションブランドにとって、洋服はもちろん重要だ。
しかし、UNDERCOVERが長年やってきたことを見ると、洋服だけでブランドを語ることはできない。
写真があり、音楽があり、グラフィックがあり、物語がある。
そして、それらがひとつの「UNDERCOVER」という世界を作っている。
映画は、その世界をさらに長い時間の中で見せることができる。
写真なら一瞬。
グラフィックなら一枚。
洋服なら身体に着ることで世界観を表現できる。
でも映画なら、人物が動き、音楽が流れ、物語が進んでいく。
つまり、ブランドの世界観をより深く体験させることができる。
今回の『UNDERGIRL』は、UNDERCOVERがこれまで積み重ねてきたクリエイションのひとつの到達点なのかもしれない。
「ファッション×映画」は新しいことなのか?
実は、ファッションと映画の関係は昔から深い。
映画の衣装がファッションを変えることもあれば、映画そのものがブランドのイメージを作ることもある。
しかし、今回のUNDERCOVERは少し立ち位置が違う。
映画のために洋服を作るのではなく、
ファッションブランド自身が映画という表現方法を選んだ。
ここにUNDERCOVERらしさがある。
ブランドの名前を広めるためだけではなく、自分たちが作ってきた世界をさらに先へ進める。
その姿勢こそ、1990年に東京のストリートから始まり、パリへと活動を広げてきたUNDERCOVERの魅力なのだと思う。
9月、渋谷でしか観られない「UNDERGIRL」
映画『UNDERGIRL』は、2026年9月14日から20日まで、渋谷のSPACE PART 3 by PARCOで期間限定上映される。
上映時間は54分。
チケットは9月2日から特設ウェブページで販売開始予定で、価格は2,000円。
出演は中島セナ、松田龍平、水原希子、倍賞美津子。
監督は守本勝英。
そして製作総指揮は高橋盾。
ファッション好きならもちろん、映画、アート、音楽、ストリートカルチャーが好きな人にも気になる作品だ。
UNDERCOVERを「洋服のブランド」として見るのか。
それとも「ひとつのカルチャー」として見るのか。
『UNDERGIRL』は、その境界線を考えさせてくれる映画になるのかもしれない。
O.L.D.T.P.P (オールドタウンペーパー的ポイント)
UNDERCOVERは、1990年に東京でスタートした。
そこからパリへ進出し、洋服だけではなく、写真、グラフィック、音楽、映像などさまざまな表現を取り入れながら独自の世界を作ってきた。
そして2026年。
その世界が、ついに一本の映画になった。
2011年の『UNDERMAN』から15年。
その物語を受け継ぐ『UNDERGIRL』。
これは単なる「ファッションブランド初の映画」ではない。
UNDERCOVERが30年以上かけて作ってきた世界を、映画という新しい形で体験する作品なのだ。
服から始まった物語が、写真になり、グラフィックになり、そして映画になる。
UNDERCOVERというブランドを知るうえでも、今回の『UNDERGIRL』は非常に興味深い作品だ。
東京渋谷で6日間だけ公開される。ぜひ観たい映画です。できれば新潟・市民映画館シネ・ウインドで公開して欲しい作品です。裏原宿世代の僕には憧れのブランドです。その方達が作る映画観たいに決まっています。残念ことに上映期間中に東京に行けないので、観れる方はぜひ劇場で作品を味わって来てください。

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